hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

アメリカを唯一征服した非英語圏の音楽


昨日買ったCDの解説に、ブラジルのバールではギターの上手い奴が店に入ってくると、そいつに演奏させ、そのあと曲目、技術について一晩中笑いながら語り合っているというような話が書いてあった。
そして、今読んでいる林伸次さんの『BOSSA NOVA』という本に「ボサノバの出会いアルバム選」というコラムがある。そこではブラジルにおける音楽の位置づけとして「気のあった仲間と一緒にお酒を飲みながら演奏し、歌い、そして踊る、ただ楽しむだけのものなんですよね」と書かれている。
最近僕はその楽しさをそのままレコーディングするのではなく、その中の議論から生まれた音楽がボサノバであり、MPBであったりするのだなと感じることが多い。美しく、楽しいのだけど考え抜かれたソフィスティケイトさがいいのだ。それが太い幹。
もちろん階級の差がもたらす「ホントのブラジルじゃない」というような不自然さもあるのだが、「酒瓶の袋小路」という話など聞くと、その混じり方がこの音楽の不思議な魅力をもたらしたのかなと思えたりして。


お姉さんの家の風呂場で延々とギターの練習をしていたボサノバ以前のジョアンの姿。1967年、軍事政権下となったブラジルで突然生命を絶ったボサノバの姿。70年代、アメリカ各地に、ロンドンに、パリに渡ったミュージシャンたち。そして世界で一番ボサノバのCDを復刻している素晴らしき日本。


太い幹のもと、倒れず、混じるようにできているのですよ。この音楽は。