驚きを求めること
今月号のミュージックマガジンはスクリッティ・ポリッティの特集をしている。そこに書かれている高橋健太郎氏の原稿がいい。1985年に発売された『Cupid & Psyche 85 』の頃のことを上手く書いているのだ。あの頃は知らないことに対して驚きをもとめて世界中を飛び回っていたという内容。
たしかに僕もあの頃は驚きを求めて様々な音楽を聴いたものだ。もちろん健太郎氏の幅より遙かに狭い世界の中でのことであるが。その頃流行ったワールドミュージックにしてもエキゾチックな意味ではなく、新しいもの、驚きの世界を求めて聴いていたような気がする。
その頃に対して今は「これ知っている、こんな感じの曲はどこそこの曲に似ていて・・・」などと適当に分析できて「だけどコレクションしたい」という確認作業のようなことをしている感じがする。健太郎氏も書いているようにネットで探せば先にそれを発見した方々がいて、それについて書かれた詳しい記事を見つけることができる。だから「すごい!こんなの見つけた!」というわくわくした感じはかなり薄れているのである。
他人の発見と自分の発見とは深い意味で違う。だからそういうのを生業としている人以外は、発見することに対してもっと感動してもいいのだ。知ったかぶりは悪い酒を飲んでいるようなものだよ。
- アーティスト: Scritti Politti
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
- 発売日: 1990/10/25
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