New Orleans、What's Going On
僕がこの地の音楽を知ったのは中学生の頃、ピーター・バラカンさんのラジオ番組がきっかけだった。ニューオリンズ音楽の特集でミーターズの"Hey Pocky Away"を聴いて一発でノックアウト。そのあとアーニー・K・ドゥの”Mother in Law”やDr.ジョンの”Iko Iko"、リー・ドーシーの”Yes We Can"、リトルフィートの「ディキシー・チキン」などを聴き、こんなにも楽しくファンキーな音楽があるなんて!と感動し、何枚もレコードやCDを集めたものだ。
しばらく遠ざかっていたのだが、昨年ニューオリンズを襲った悲劇が再びこの音楽を聴くきっかけとなった。数々発売されたチャリティアルバムが素晴らしいものだったのだ。これらのアルバムが生まれた背景を思い出すたびに、この土地、このミュージシャンたちがいなければ、この音楽は成り立たないという当たり前のことを実感し、そのはかなさや希少性を感じたりした。
そして、今月になりダーティー・ダズン・ブラス・バンド(DDBB)の新作が発表された。
なんとマーヴィンの『What's Going On』をまるまるカバーしたアルバムだ。輸入盤は発売されているのだが、試聴してすぐにこのアルバムを録音した背景、説明をきちんと知りたいと思った。だから1曲目の途中で聴くのを止め、日本盤が発売されるのを待つことにした。
いつもは楽しいDDBBのアルバムが怒りと悲しみに満ちている。この時期にこんなアルバムが現れる意味。いったいニューオリンズは今どうなっているのだろうか。
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