hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

失われない美しい技術〜アラン・トゥーサン

昨日購入した中古盤CDの中にアラン・トゥーサンのアルバムがあった。タイトルは『Connected』。1996年に発表されたアルバムだ。
このアルバムの良さはプロダクションが過剰でないところ。まるでスタジオで一発録りしたような音楽だ。トゥーサンのピアノはきれいに転がっているし、バックバンド各楽器の音のイキのよさも明確に聴こえている。ニューオリンズ音楽の基本を余分な化粧なしで素直で見せている素晴らしさがある。
先日U先生に聞いた興味深い話がある。サッカーのOB会の試合をするとプレーヤーのタイプが2つに分かれるそうだ。昔からテクニカルなプレーをしている人は年を取っても上手く相手を交わしゴールを決める。反面、フィジカルの強さでプレーしていた人はそのメリットが薄まるため、晩年は上手くプレーできない。技術は年を取っても失わないものらしい。
アラン・トゥーサンのピアノ、プロダクションにも似たことが言える。彼のピアノは年を取ろうがきれいなニューオリンズピアノ。その流れるようなピアノの音に加え、楽しいのだけど甘酸っぱいペーソスを感じさせるプロダクションは相変わらずの良さ。
こういうアルバムは年を取らない。ブルーノートの名盤のようにいつまでも聴き続けられる音楽でなければならないと思う。せめてここではしっかりとそのよさを残そう。

Connected

Connected