hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

エリントン、レイ、ジョニー

先日発売されたレコード・コレクターズジョニー・キャッシュに関する記事が載っていた。そこでは荻原健太さんが日本におけるカントリーミュージックの立場、その扱いの不憫さについて書いている。日本では普通の人より音楽ファンのほうがカントリーミュージックに対する偏見をより持っているのではないだろうか、ということだ。それって非常に皮肉な話。


以前、僕もカントリーといって思い出すのは映画”ブルース・ブラザーズ”のローハイドが歌われる場面だったりして、非常に保守的、ノリが悪いというイメージを持っていた。しかしロック、そしてそのルーツである黒人音楽をどんどん聴いていき、そしてピーター・バラカンさん、健太さんのラジオ番組からカントリーとR&Bとの関連性を教えてもらい、自然とその音が耳に入ってくるようになった。


去年公開された映画”Ray”ではレイ・チャールズカントリーミュージックのアルバムを出すと言い、レコード会社の重役から反対されるシーンがある。子供の頃から何の違和感もなくカントリーを聴いていたレイのように、60年代初頭までアメリカの各地ではR&Bとカントリーとが楽しく混ざり合い存在していた。
それが音楽産業の巨大化に伴い、計画的に売りやすくするジャンル分けという音楽の整理が常識となった。90年代に入るまで遠い極東の地においては混ざることゆえに起こる美しい化学反応を聴く機会はほとんどないに等しかったのだ。そこで偏見、カッコイイとされるロックやソウル、ディスコミュージックしか聴かれるべき洋楽ではないという感覚が生まれたのかもしれない。


しかし、ここ10年近く、特に音楽ファンでもあるミュージシャンたちのおかげでジャンルの壁を乗り越えた音源を聴く機会が増えている。グッドオールドミュージックという言葉を窓口にカントリーもフォークもブルースも一つの耳に届きやすくなったのだ。ライブもそう。だからフジ・ロックやハイドパーク・ミュージック・フェスティバルが非常に楽しみなのだ。非常にピュアな音楽、まさにカントリー、ロック、R&Bっていう音楽には共通点が多い。やはりデューク・エリントンが言うように音楽のジャンルには「いい音楽」と「そうでない音楽」しかないのだ。
ザ・ポピュラー・デューク・エリントンModern Sounds In Country and Western Musicアメリカン・レコーディングス