hirogoal’s blog

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日本対フィンランド〜新しい波の影響は?

久々に代表の試合をじっくり見た。チーム内の競争が良い形で現れてるなと感じる内容だった。
日本は3−5−2の布陣で、先発メンバーでは三都主に代わり村井、田中誠に代わり坪井、2トップの一角が巻という変更があった。この変化がどうチームに影響を及ぼすか。これが一つのポイント。
フィンランドは4−4−2。DF陣の平均身長は183cmらしい。この空中戦では厳しそうな相手に対し、どう崩して攻めていくか。これが二つめのポイント。


国歌斉唱は川平慈英。テレビでは2階席の空席が目立ったが、彼の君が代でスタンドは盛り上がる。
前半は日本が焦っているかのように早く攻める場面が目立った。
1)サイドからクロスを上げる→2)相手DFに跳ね返され、カウンターを受ける→3)フィンランドの攻めが雑なため、日本DFがボールを取り戻し、ボランチへボールを回す→4)ボランチは無理矢理サイドへパス→5)相手に詰められたサイドプレーヤーが小笠原へパス→6)小笠原が2〜3人に囲まれてボールを失う→7)そのこぼれ球を日本サイドプレーヤーが拾う→再び1)サイドからクロスを・・・の繰り返し。
6)で小笠原がキープでき、パスを出せるときがチャンスとなったが、中盤の連携がちぐはぐなため、なかなか上手く繋がらない。そして両サイドのクロスも工夫が足りないため、簡単にはじき返される。
(テレ朝が伝えた)ジーコのハーフタイムコメントは下記の通り。
「前半はガマン比べの試合展開だった。(後半は)グラウンダーのパスで攻めよう」
まさに前半はコメントどおり。そして後半もこの指示に従い攻撃が始まった。


選手交代なしで後半スタート。
まず、後半1分40秒過ぎの攻撃。これが見事だった。
左サイドの浅い位置から中澤がボランチの小野へパス、小野はサイドに陣取る村井にパス、村井は小野へパスを返し、左サイドを駆け上がる。小野はボールを受けに下がった巻へボールを出す。巻から左サイド高い位置に上がっていた村井へパス。村井は低めのクロスをゴール前に出す。ぎりぎりのところで久保は取れなかった。惜しい。
そして、このプレーからチーム全体が見事な連携プレーを見せ始める。
そのすぐあとに加地のスローイン→右サイドDFの裏へ抜けた小笠原へ、そして低いクロス→久保のゴール。
後半9分の小野→小笠原→小野からのパス→久保のシュート。
後半10分の浅いところからの坪井のフィード→DFに競り勝った久保のポストプレー→小笠原が拾い、前線へパス→ポストの巻が落とし→再び小笠原が拾い、左サイドへパス→駆け上がった村井がパスを受けクロス。
後半13分の福西から前線の巻へフィード→ポストの巻が上手く落とす→駆け上がった中澤が拾い、左サイドへパス→ボールを受け取った村井が手詰まりになり、中澤にもどす→中澤のスルーパス!→DFの裏へ抜けた小野へ繋がる
後半17分の村井が見せた激しいプレス。
どう考えても村井効果が大きい。DFの負担が減った中澤がのびのびとプレーしている。左サイドの連携が上手くいくと、こんなに攻め手が増えるのかという展開だ。
そして巻。ディフェンスも攻めも豊富な運動量で見事にこなしている。背が高いだけでFWとして使われているのではないと信じたい。背の高さに加え、彼の動きがいいのでジーコは使っているのだと。
ここでもう一つ興味が沸いてきた。途中交代の三都主がこのプレーを見て、どんな影響を受けるかだ。そう考えていると後半26分に三都主佐藤寿人が登場。
こっちの気のせいか、突然左サイドが使われなくなり右サイドの展開が増える。その上後半30分、加地に代わり駒野が登場。後半34分、36分と駒野からの展開が増える。39分になりようやく三都主が攻撃に絡む。
そして後半42分。ちょっとした驚きがあった。左サイドからの見事な攻めが見られたのだ。中澤から三都主へパス、その瞬間、中澤が三都主を追い越す動きをする。そして三都主は変なドリブルを見せず、冷静に前線からボールを受けに若干下がった本山にパスを出したのだ!受けた本山は左サイドのDFの裏を抜けた小笠原へパス。残念ながらオフサイドだった。
しかし、この一連の流れは村井効果かもしれないぞ。三都主が連携の流れにフィットしていたのだ。


今まで2番手、3番手と言われていた選手たちの活躍は安定していた先発陣を刺激している。ようやく競争が本格的に(表に見えるように)なった日本代表。これがファンにとって最大の収穫だ。そして連携を通じ、裏へ抜けるプレーを繰り返すことで、背の高くフィジカル的に強い相手を崩す場面が見られたことにも満足。
ついでにもう一つ。小笠原のプレーだ。現代サッカーにおけるトップ下のプレーを見事にこなしていた。セカンドストライカー的に裏へ抜けるプレー、中盤での運動量を生かしたディフェンス。いずれも進化が見られた。(あのゴールはさておき)彼は今日のMVPか。
この試合は後半に入りフィンランドの中盤のプレッシャーが少なかったということもあるが、親善試合なら仕方がない。いいところを伸ばしたということにも意義があるのだ。良い試合だったと思うな。
2月末に行われるボスニア戦でこの学習効果を見せることが出来るか。注目したい。