hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

丁寧に作り込まれた工芸品のような音楽


I've been waiting on the other side
For your friends to leave so I don't have to hide
I'd prefer they didn't know
So I've been waiting on the other side
For your friends to go



最近はポールの新作”Chaos And Creation In The Back Yard”ばかり聴いている。それも5曲目の"Friends To Go"から。丁寧に作り込まれたわずか3分足らずのこの曲を会社帰りの電車の中で聴くと、そのメロディから「仕方なく別れなければならない」っていうイメージが浮かび何だか悲しくなる。そして、なぜかその感覚を繰り返して体験したいという気分になり何度も聴いている。
続く"English Tea"の冒頭で聴かれるストリングスの音はポール至上最高に”本物”の音だ。ブリティッシュロックもここまで成熟したのだと言いたくなる。聴き手が手作りの音楽を手にするうれしさを感じる曲だ。そしてこれも2分ちょいの長さ。


このアルバムのいいところは短い曲が多いことだ。無駄な音を入れず丁寧に作り込まれた音楽。こんなところまで凝ってるんだと関心させられる工芸品を手に取っているような感じである。そしてどの曲もメロディにわずかな暗さと暖かさが含まれている。それが今の僕には心地いい。
聴けば聴くほどよくなっていくアルバムなんて久しぶりだ。派手なところは一つもなく純粋に音楽だけが素晴らしいアルバム。
ポールに何が起こったのだろう。かなりの手間と忍耐が必要だったのではと思わせるのだが。
荻原健太さんのHPによると「間違いなく“『SMiLE』後”のアルバムだ」とのこと。それも一因。


彼は突然、誰も期待してないときにブリティッシュロックの名盤を生み出した。


Chaos And Creation In The Back Yard (CCCD)

Chaos And Creation In The Back Yard (CCCD)