hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

今井正人というバケモノを見た。

そういうふうに書くと本人に怒られるかもしれないが、ホントにそうとしか思えなかったのだから仕方がない。
箱根駅伝、第5区の山道を快走した天才、カリスマランナーのことだ。他の選手たちが彼のことを「山の神」と呼ぶ。そんな学生スポーツの選手を他には知らない。


実は箱根駅伝をちゃんと見るつもりはなく、昼からは高校サッカーを観るため駒沢へ行く準備をしていた。しかし個性溢れる選手たちの姿が少しずつ画面へ気持ちを向かわせた。
1区の東海大、天才ランナーという言葉がよく似合う佐藤悠基。2区の山梨学大モグスの涙。3区は中大、高校の後輩である佐藤悠基の記録に挑んだ上野裕一郎。4区は東海大、プレッシャーの中でリードを保った小泉元。それぞれ自分で何とかするんだという強い自我が見えて面白かったのだ。


そんな中、テレビで何度も映し出される順天堂大5区の選手の姿。始めは必要以上にマスコミに担ぎ上げられているんじゃないのかな〜と思って見ていたランナーがその担ぎ上げ以上の走りを見せたのだからビックリ。
それが今井正人順天堂大学4年生。山を登るという言葉にふさわしいほどの山道を、このレース最長区間を、余裕の姿で走り切ったのだから驚くしかないのだ。彼にとっては只の結果でしかない3年連続区間新記録も達成。
解説の名ランナー瀬古利彦が今井の走りを見てオーバーペースではないかと勘違いしたほど彼の走りは早かった。乳酸の溜まりにくい体、腰の高さ、キックの強さ、そのマイナス面を補うテクニック、精神力、いずれも坂道、いや長距離ランナーとしての素質を見せつける。周囲の過剰なまでの期待もモノともせず、余裕の表情で勝ってしまった。
彼には新世代のスポーツ選手に共通する不思議な強さがある。体力的な素質や卓越したテクニックを持て余すことなく、オープンな精神力で乗り切ってしまう強さだ。彼を見ていてスケートの真央ちゃんを思い出したほど。
果たして将来はどういうふうに僕を驚かせてくれるか。特に権力的、閉鎖的な姿の目立つ陸連の中で彼のような選手が新しい姿を上手く見せつけて欲しいと強く願う。


佐藤悠基上野裕一郎らと共に世界へ挑戦して欲しい。頑張れ。