hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

ただワインを買えるだけのお金を稼ぎたいだけ。〜Get Back In The Lineより

『ローラ対パワーマン,マネーゴーラウンド組 第1回戦』
これはブリティッシュロックの傑作、1970年に発表されたThe Kinksの通算9枚目のアルバムの長ったらしいタイトルなのである。約半年の休養を取ったレイ・デイビスが彼特有の屈折したユーモアを全開にしたソングライティングが冴え渡る!
ホモセクシャルを扱った歌詞として有名な「Lola」もあそこまでユーモアがあるとビートたけしの短編映画のような趣があるし、職業安定所の列に並ぶ少年のことを取り上げた「Get Back In The Line」にはレイ・デイビスの街角観察者としての真骨頂があるし、あとメロディとアレンジが素晴らしい。ブリティッシュロックの良さが満載だ。鬱屈さの中に爆発しそうなエネルギーを感じさせるメロディ。
曲を聴きながらコレ書いているので、また歌詞に戻る。「僕は厳格なベジタリアンだから・・・核戦争で死ぬのはごめんだ。遠い島に渡り、サルみたいに生きていたい。僕は猿人」っていう「Apeman」の歌詞。当時のロンドンのエリートがパブで交わしそうな言葉だけど、今の東京の立ち飲み屋の空気みたいな感じもするな。
コンセプトアルバムとかトータルアルバムという言葉で紹介されることの多いこのアルバム。それじゃあちょっと堅苦しいので、あんまりそんなこと考えずにメロディとリズムに身を任せ、素直に聴くと傑作だってよく分かる。ビートルズストーンズばかりが60〜70年代のブリティッシュロックを作っていたわけではないのだぞ!

Lola Vs Powerman & Money-Go-Round

Lola Vs Powerman & Money-Go-Round