hirogoal’s blog

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The Complete Warner Recordings〜Allen Toussaint

HMVに注文していたアラン・トゥーサンのベストアルバム”The Complete Warner Recordings”が到着した。予定より10日遅かったので宅急便のおじさんにベルを鳴らされたときはビックリしたよ。
2年前に発売された限定版だったためHMVは入手に手間取ったのだろうか。HPでは在庫ありになってたんだけどね。とにかくアマゾンだと中古で1万3千円もするので、その半額で新品が買えたことを満足しよう。


このアルバムはその名の通りワーナーでレコーディングしたソロアルバムの楽曲すべてと未発表のライブ音源を2枚組CDに収めたものだ。他のRhino Handmade作品と同様、音の良さ、解説に書かれている情報の豊富さ、パッケージの作りの丁寧さがたまらない。

トゥーサンのアルバムというのは、本人のボーカルがか細い(それも味があるからよいのだが)ため、周りのアレンジを含めて聴かなくては意味がない。その辺は乱暴にいうとカーティス・メイフィールドと共通する。ピアニストでありながらプロデュースで聴かせるミュージシャンだ。そしてバックに使っているのはミーターズの面々。全盛期の彼らが紡ぎ出す魔法のようなリズムアンサンブルも聴くこともできる。


クレジットを眺めてみるとSea-Saintスタジオを使用したのが実は”Southern Nights"しかないことが分かる。これはちょっとした驚きだった。ほのぼのとした独特のファンキーな音、数々のニューオリンズノベルティソングを生み出したスタジオでは本人のレコーディングってホント少なかったのだ。
それにしてもメロディが個性的だ。ちょっと甘く悲しい曲調、まるで休みの終わりの夕方のようなメロディを持つ曲が多い。今まで聴いてきた”Southern Nights"だけが特別じゃなかった。明るく楽しいニューオリンズという感じからは若干離れたメロディ。リトル・フィートもカバーした”On Your Way Down”のブルージーな感じなんてクールで最高だ。


そして2枚目に収録されている未発表ライブ音源が素晴らしい。艶っぽいリズム&ホーンセクションの中で本人が自由で楽しそうに演奏している。ライブではピアノも弾きまくっている。転がるようなニューオリンズピアノしていて最高によい。こんなの聴けるのだったらコステロと一緒に奇跡の来日して欲しいぞ。


この人はニューオリンズの光と影を音に演出することのできた数少ないミュージシャンなのだ。だからその独特の陰影を持つグラデーション的な音は一連のカトリーナハリケーン救済アルバムでも深みを醸し出している。


1人ミシシッピーを見て何を想う。