hirogoal’s blog

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まだまだ冬は明けない〜レイ・デイヴィスの新作”アザー・ピープル・ライブス”

結成してから40年を越えるロンドンの老舗バンド、キンクスのリーダーで、人並み外れた観察眼を持つシンガーソングライターでもあるレイ・デイヴィス。全曲新曲としては初のソロアルバムがタワレコ店頭にいきなり並んでいた。
もちろん購入。さっそく聴いてみたところ、ちょっとビックリした。これまたエッジの効いたロックなアルバムなんだよ。めちゃくちゃ前向きな音だ。
で、歌詞カードを読むと、う〜ん。相変わらずのキンクスワールド。ちょっと憂鬱で、ちょっとニヒルで、ちょっと批判してる。けど音にパワーがあるので、曲だけ聴くとU2みたいっていうひとがいるかも(笑)
なんでも彼は最近ニューオリンズに住んでいるらしい。解説で松村雄策氏が書かれているように、あのハリケーンのときもニューオリンズに居たのだろうか。余計な心配もしたくなるものだ。


面白い曲はたくさんあるのだが、中でも傑作は"スタンド・アップ・コミック"。解説でレイは過去と決別しようと様々なことをしたと語っているのだが、その決別へ向けての格闘の中で生まれた曲とのことだ。普通そんなことを語って作る曲っていうのは新しい挑戦だったりするのだが、彼の場合はチョイ違う。結局この曲が新しいところへ我が身を置こうとすることを妨害していたと語っているのだ。なんと複雑。(けど、その格闘を終えて今は新しい視点を持つことができたそうだ。だからこの曲も収録したのだろうね)


ポールの新作と同じく、このアルバムとも長い間付き合うことになりそうだ。人生を音に重ねることができるミュージシャンは強い。

Other People's Lives

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