hirogoal’s blog

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私的カエターノレビュー1

Circulado
Circulado(1991)
このアルバムが僕にとっての初カエターノ作品。確か、大阪・心斎橋ビッグステップの今はなきWAVEでバーゲン品として購入したはずだ。
カエターノとニューヨークとが密接に音で結びついていた時代、当時アンビシャス・ラバースの一員であったアート・リンゼイがプロデュースした名盤である。
1曲目の「Fora Da Ordem」で聴くことができる世界各国のことば。変なリズムに乗っかるポルトガル語、英語、フランス語、スペイン語、そして日本語。
「しんせかいの〜むちつじょっ!(新世界の無秩序)」っていう音が突然耳に飛び込んできたのには驚いた*1
初めは変な歌だな〜と思っていたのだけど、何度か聴くうちに耳になじんでくる。そう、カエターノ作品は耳になじませると心地よいのである。初めは少しも響かなかった音が突然聞こえてくるような感じ。
このアルバムでいうと1〜3、5曲目などがそんな曲である。この感じに慣れると普通の(あくまでもカエターノの普通ね)サンバ、ボサの香りを感じる曲も、あの声一つで一気にカエターノというジャンルに聞こえてくるから不思議だ。
このアルバムのハイライトは最後の曲「Lindeza」
カエターノと坂本龍一の2人で創ったとても静かで美しい曲。途中で入る「Lua, Lua, Lua, Lua」からの一節が大好きだ。カエターノ自身は決して言わないと思うが、この曲はあの人と同じく、沈黙より美しい。

*1:ポルトガル語の箇所はベベウ・ジルベルトが歌っている。