hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

裏をかくことはエンターテイメントの基本

オシムはサッカーにはインテリジェンスが必要と語る。選手に対しては場合によって相手の裏をかくプレーをしなければならないとも語っていたそうだ。考えるまでもなく非常に当たり前の言葉なのだが、観戦する立場から言えばサッカーの面白さ、奥深さはそこにあるのだと思わずうなずいてしまう。
一方いわゆるファンタジスタの連中は裏をかくことが非常に上手い。見ていて背筋がぞくぞくっとするプレーの半分はそういったものなのかもしれない。しかし、そのあたりの才能のある選手というのは、そんなに動かなくても相手をだまし、楽をしてパスやシュートを決めてしまうため、運動量が少なくなる(ように見える)。
じゃあ全員がガットゥーゾになったとする。見ていてそんなに面白いか?(そりゃ別の意味ではおもしろいが(笑))やはりピルロや俊輔やジダンのようなプレーヤーも必要なのだ。


はあ〜。当たり前のことを書き続けるのはしんどい。でも、これからスポーツ紙や雑誌で選手の運動量について一方的な見方が出てくるかと想像すると、こういったことも書きたくなる。


THE STRING CHEESE INCIDENT(略してストチー)の”On The Cover”というアルバムを買った。これはストチーがライブで演奏しているカバー曲を集めたアルバムで、アレンジが意表をつくものばかりで楽しい。
まず1曲目から驚いた。エアロスミスの名曲でRAN DMCのカバーでも有名な”Walk This Way”だ。しかしハードロックっぽいのはイントロのみで、歌が始まるといきなりカントリー調になる。元々のアレンジで耳に馴染んだ曲だからこそ、裏をかかれるとぞくぞくする。その落差が楽しくスリリングで気持ちいい。客もそういうことをよく知っているため、裏をかかれたとたんの盛り上がり方は半端じゃない。


「意表をつく」とか「裏をかく」って言葉はエンターテイメントの基本だ。そこには必ずユーモアがある。それはインテリジェンス抜きでは語れない。
文章でそれらを表現できる人というのは、才能のある人か、しっかりとした訓練を積んだ人だと思う。
果たして今のサッカー記者たちの中ででそれだけのものを持った人はどのくらいいるのか。果たして大手新聞社や雑誌社で学歴ではなく、その才能で新人を採用しているところがどれだけあるのか。はあ〜いろいろ考えちゃうな。