hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

フランシスコ・カナロ楽団〜場末の誇り

今晩は国際フォーラムでタンゴの名門楽団、フランシスコ・カナロ楽団のライブを鑑賞。あるミュージシャンの方のお誘いで生まれて初めてアルゼンチン・タンゴのライブを聴くことができたのである。
10人編成の楽団に加え、2組のダンサー、2人の歌手を引き連れての演奏であった。開演前は芸術&社交ダンス的なものを予想していたのだが、それは大きく裏切られる。とても大衆的な雰囲気があり、まるでアルゼンチンのパブで酒を飲み、テレビに映るサッカーの試合を見ながらライブを聴いているかのよう(っていうと怒られるかな)。楽しくエンターテイメント感溢れる演奏であった。
4人のバンドネオンの演奏は迫力十分。指揮するホルヘ・ドルゴーネさんのピアノに合わせて見事なアンサンブルを見せる。ホルヘさんはまるでデューク・エリントン。脚でカウントを取り指揮していたようだ。ダンサーの人たちはクールでかっこよいだけでなくユーモア溢れる動きを見せる。なかでもビアンチ監督が髪を切ったかのような風貌のハイデさんのダンスは楽しかったな。そして二人の歌手も素晴らしい歌声を聴かせる。特に良かったのは男性歌手のアルベルト・ビアンコさん。美しく声量のあるオペラ的な声で聴いていてとても気持ちよかった。
途中地震があったのだが、バンドも歌手もびくともせずに演奏したのはまさにプロ。地震中は胸がドキドキしながら歌ってたんだよっていうビアンコさんのしぐさは観客の笑いを誘っていた。
短調なのに明るく前向きな音楽。タンゴって素晴らしいね。アルゼンチンの文化はサッカーだけではないっていう当たり前のことを実感したぞ。