hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

二晩経って

最初からアンコールみたいだった。ビーチ・ボーイズ時代の名曲「サーファーガール」のアンプラグドバージョンで始まった2005年ブライアン・ウィルソン来日公演は楽曲の素晴らしさを再確認することから始まった。演奏される曲すべてがアンコールの最後に聴けても納得の曲ばかり。こんなのはポールのツアー以来だ。つまり過去のヒット曲ばかりなんだけどバックバンドの涙が出そうなほど素晴らしい演奏がすべてをスペシャルバージョンにしていて少しも懐メロを感じさせなかったのである。オリジナルで弦楽器を使った曲なんかはシンセで演奏してもいいのに本当のストリング奏者たちに演奏させていて、複雑なアレンジを含めその深さにびっくり。
そして第2部で演奏されたアルバム「SMiLE」の完全演奏。ちょっと前までは幻のアルバムと言われていたそれらの楽曲は何年にも渡ってバラバラで発表された内容で想像するしかなかったのに生演奏で聴けるなんて!このバックバンドは奇跡の演奏を行った。
その大役を務めたのはダリアン・サハナジャ率いるワンダーミンツのメンバーを中心とした若いグループ。ビーチ・ボーイズの非常に難しいコーラスを再現するだけでなく、ブライアンの幻想がもたらした多様な楽曲を生で演奏するその技術の素晴らしさ!
歌詞の内容でも、感情的な押しでも、名声でもなく単純にその楽曲の素晴らしさ、演奏力の素晴らしさに惚れ惚れした。「音楽」すなわち音を楽しむってこういうことなんだよと納得したな。
ポールのときも感じたのだけど曲によってはもうブライアンの声の帯域が上手く合わない曲も多い。そこをいかに上手く乗り切るか。ブライアンは第1部をウォーミングアップにして「SMiLE」の演奏にすべてを賭けていたような気がした。しかしそれでも1曲目から感動したよ。選曲の構成も完璧。さすがビートルズの「ラバーソウル」や「サージェント・ペパーズ・・・・」に影響を与えた人だ。生きていてくれてありがとう。
あ〜もう一度聴きたい。
ホントに。もう一度。