hirogoal’s blog

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イマジネーションと勇気と〜魅力のブラインドサッカー

昨日(11/14)、二つの魅力的なサッカーを見た。
一つは世界の強豪アルゼンチンを破ったフットサル日本代表の試合(テレビ観戦)、そしてもう一つは日本で初めてのブラインドサッカー*1のリーグ戦、チャレンジカップ2004の最終節である。
この日、私はブラインドサッカー初体験だった。そしてこのサッカーはイマジネーションと勇気のスポーツだと思った。


チャレンジカップとは関東でブラインドサッカーを行っている3チームによるリーグ戦で、今年の6月26日から11月14日までの全6節9試合で優勝を争う大会である。この日の試合で優勝が決まるとあって、ゲーム前は各チームの勝利に対する意識の高さを感じた。
ブラインドサッカーではGKを除くフィールドプレーヤー4名が全員アイマスク(その下にはアイパッチ)を着用し、B1クラスといわれる良い方の視力が光を感じることができる程度の視力の状態でプレーする。
つまり目ではなく、音や、雰囲気で相手やボールの位置を判断しなくてはならない。4号の大きさのボールの中には鈴が入っていて転がるごとにリンリンと鳴るのだが、初心者はその位置をつかむのが大変だという。
しかし、この大会に出ている選手たちは違った。ボールの音を走りながら聞き、瞬時にその位置に向かい、ボールを感じ、捕らえ、ドリブルし、足の甲の真ん中で見事にシュートするのである。
初めに驚いたのはシュートされるボールの早さだった。皆、ボールを蹴るのに躊躇はしない。失敗を恐れず思いっきり蹴る。そのボールの早さは当たると怪我をしそうなほどだ。次にパス。相手の名を呼び、答えが聞こえる方向へきちんと正確にボールは蹴られる。受け取る方も見事なトラップでボールを捕らえる。パスが決まった瞬間はイマジネーションから生み出されるコンビネーションに驚いた。これぞノールックパスである。
そして受けた選手はドリブルを開始する。相手DFが目の前にいても関係ない。勇気を持ってまっすぐに走る。ぶつかってもころんでも、頭のプロテクターがはずれても関係ない。まっすぐにゴールを目指してドリブルする。
DFも大変だ。相手は恐れを知らず突っ込んでくる。何度DFとFWがぶつかり倒れるシーンを見たことか。二人とも倒れてもすぐに立ち上がり、必死にボールを探す。その姿にシュミレーションなんて言葉は全く見あたらない。
そしてGK。彼だけはアイマスクを着用しなくてもよい。ピッチの中で唯一「見る」ことが許されるプレーヤーだ。しかし、その活動範囲はわずか5m×2mのエリアに限定され、そこから出ることは許されない。下手に声を出すと相手にゴールの位置を教えることになるので、相手がゴール近くにくると静かになる。つまり、その位置をつかみきれない相手選手に思い切って突っ込まれることが何度もあるのである。これは怖い。そしてシュートも至近距離で遠慮なく打たれる。非常に過酷なポジションだ。


第一試合の最中に素晴らしいプレーを見ることができた。ハーフウェイライン付近から出されたロングフィードに反応したFWの選手が素晴らしいゴール、ダイレクトボレー*2の素晴らしいシュートを決めたのである!この瞬間、私の目の前にファンタジスタが現れた。彼に世界の素晴らしいプレーヤーと同じイマジネーションを感じたのである。
これこそサッカーの魅力。魔力、美しさ。このコートでそんなことを知るなんて思いもよらなかった。
サッカーの深さを思いっきり感じることのできるブラインドサッカー。もっともっと見てみたい。

*1:ブラインドサッカーについての詳細はこのHPを参照のこと。http://www.b-soccer.jp/index.html

*2:ワンバウンドしてたかも?そのゴールの美しさに忘れてしまった。