hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

アントラーズのゆくえ〜その1

アントラーズをお手本にしたんです」
昨年、仙台へ取材に行ったとき、ベガルタ仙台サポーターや関係者の方々がそう語っていた。昔ベガルタがまだブランメル仙台だったころ、チーム運営、サポーター組織、スタジアムの設計などはアントラーズを非常に意識していたらしい*1。当時プロスポーツのない地方でどうしたらよいのかを手探りした場合、アントラーズしかお手本になる存在はなかったのである。
それは、アルビレックス新潟にとってはベガルタ仙台だった。昨年見たアルビレックス新潟の盛り上がりを取材したテレビ番組で、アルビレックスサポーターの代表の方々はベガルタを目標にしたいと語っていた。仙台スタジアムがユニホームを着た観客で埋まっていたことに感銘を受け、是非あのようなスタジアムにしたいと思っていたらしい。そしてチームもベガルタの地域に根ざした運営を参考にしたのではないかと思われる。


つまりだ。地域に根ざしたチームの最先端を行くのは、いい意味でも、悪い意味でも鹿島アントラーズなのである。アントラーズなくしてはベガルタアルビレックスも上手くいってなかったかもしれない。
最近、そのアントラーズ周辺のようすが少しおかしい。一昨年頃から観客動員が芳しくないのである。サポーターの何人かに聞くと地元の鹿嶋市周辺からの動員が減り、都心からの集客の割合が増え、いわゆるドーナツ化現象のような状態らしい。
先日鹿島へアントラーズvsマリノス戦を観に行ったとき、雨の中乗ったタクシーで運転手さんがこう語った。
「レッズ戦じゃないと儲からないんですよ。レッズだとお客さんがたくさん乗るので、うちらも儲かります。昨年(2003年)の開幕戦はレッズ戦で、なぜかシャトルバスが出なかったんですね。それでタクシー会社は休みの人も総動員してタクシー走らせましたよ。お客さんもたくさん来たし、タクシーもいっぱい使ってくれたし、よかったですね」
まるで、その前の週アントラーズがレッズに負けたことなど全く頭にないような話しぶりだった*2。もちろん運転手さんがサッカー好きだとは限らないので何とも言えないが、その醒めた感じが何か今の状況を現しているように思えた。
(その2へ続く)

*1:応援はオリジナリティを重視していた

*2:2004年セカンドステージ第10節アントラーズvsレッズ戦、アントラーズはレッズに2-3で敗戦した。