hirogoal’s blog

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異国の香り〜アメリカン・ソングス (原題 A Foreign Sound)

カエターノ・ヴェローゾ


カエターノはこの微妙な時期に、初のオール英語、全曲アメリカのスタンダード音楽収録というアルバムを発表した。
曲目を並べると、”煙が目にしみる”、”ダイアナ”、”サマータイム”、”ラヴ・ミー・テンダー”からカート・コバーンの”カム・アズ・ユー・アー”まで、年代、ジャンルを超えて幅広く取り上げている。


しかし、ふつうには演奏していない。
クールなパーカッションの響き、ストリングスの華麗な調べ、ノイジーなギターの音。
加えてジョアン直系のささやくようなボーカル。どの曲も彼のオリジナル曲のように聴こえる。
ここに政治的な意図を感じることは、まだ、ない。彼のことだからといろいろと考えてみたが、まだ見つからない。
強いて言うなら、「アメリカよ、足元を見つめよ」といった感じだろうか。


異国アメリカの音楽を自分流に消化しながら、愛情をも注ぎ込む。
その見事な手法には恐れ入る。
もっと聞けば何かが見えそうだ。
そして今年のベスト10に間違いなく入るアルバムである。