hirogoal’s blog

本と音楽とサッカーのことを書いています。

好きなことをすることは美しい。

hirogoal2004-08-06

「自然界に於いては報いも罪もない。あるのは"Consequences"だけだ」

19世紀アメリカの哲学家であるR.G.インガルソンの言葉である。*1
そして、この一節の中の言葉"Consequences"とは自然の脅威の結果という意味であり、イギリスが生んだ天才ミュージシャン、ゴドレー&クレームの壮大な実験作のタイトルでもある。


だいたい、自分で新しい楽器を開発して、その楽器でLPにして3枚組のレコードを出すミュージシャンが何人いるだろうか。それもアコースティックな楽器ではなく、きわめてメカニカルな楽器を、工科大学と組んで開発するようなものを。

しかし、このアルバムに詰まっている音は素晴らしく壮大で美しい。工学系の人間がとことん突き詰めて作った音楽がこんなにも"自然(nature)"な感覚をもっている。


彼らは10CCのメンバーであった。
ビートルズの再来と言われ、歌詞のユーモアさと、メロディの素晴らしさを持った名曲を数多く生み出した70年代のイギリスを代表するグループである。
なのに脱退して、こんなアルバムを作った。売れるわけない、と周りから何度も言われたことだろう。しかし二人は自分のやりたいことを思う存分やることを選んだ。
その無垢で前向きな気持ちがもの凄く伝わる極めて美しいアルバムである。


ギズモ・ファンタジア (紙ジャケット仕様) (原題 Consequences)  ゴドレー&クレーム

*1:"ギズモ・ファンタジア"UICY-9170/1 CD解説より